今回のテーマは発熱です。
熱出た!まずクーリングするか。ってなるとおもいますが、クーリングの正しい考え方をしらないと、
意味のないものになってしまいます。
大事なことは、患者さんがなぜ熱を出しているのか。ということです。
私も2年目くらいに知りました。
「クーリングすればいいってもんじゃないから」と先輩にいわれ、
ほー。と思いました笑笑
目次
人の体温は、熱産生と熱放散のバランスで維持されています。
いつもほぼ一定で維持されています。
発熱とは、体温を調節する中枢の体温設定の変化により、体温が異常に上昇した状態のことを言います。
体の中の熱は、いろいろな物質の代謝によって生じています。
この熱は、血液が暖められて、その血液が体中をめぐることで伝えられていきます。
同時に、血液が皮膚の表面近くを流れる時に、通常体温よりも低い外気の影響を受けて、
熱が体の外に放散されます。
また、発汗や不感蒸泄によっても熱の放散が起こります。
例えば!
①走っていたら顔が赤くなる
これは、運動をすることで体の中の代謝が亢進して、熱産生は亢進します。
そうすると、体の中は体表面から熱を外に出そうとして、血管を拡張させます。
血管が拡張することによって、顔が赤くなるということです!
また、汗が出るのも蒸発によって熱の放散を増やすためです!
②寒いと肌が白くなる、手足が震える
これは、皮膚の血管を収縮させて熱が奪われるのを防ごうと、血流が減少するためと、
筋肉を動かすことで熱を産生しようとするためです!
体温調節の中枢は脳にあります!!
脳の視床下部というところにあります。
視床下部では、体温を何度に設定するかという設定温度(セットポイント)
というものを決めています。
実際の体温が設定温度と等しくなるように熱産生と熱放散を行うように命令を出しています。
発熱は、体温調節中枢のセットポイントが高く設定されてしまった状態です。
これに対して、うつ熱はセットポイントの上昇はありません。
熱の産生と放散のバランスが崩れてしまって、産生された熱がこもってしまい、体温が上がります。
その代表的なものが熱中症というわけです!
なんでセットポイントが上がる?
どうやったら上がるの?って私は思ってました笑
セットポイントの上昇は、視床下部の体温調節中枢が刺激されることで起こります。
この体温調節への刺激には、機械的刺激と科学的刺激の2つがあります!
・機械的刺激
脳腫瘍、脳出血、頭蓋骨折などによって体温調節中枢が損傷を受けたり、直接刺激されることで、
発熱をきたします。
・科学的刺激
これが一番多い!
血液中に体温調節中枢に作用する化学物質が存在すると、セットポイントが上昇します。
本来平熱の36℃~37℃に設定されていたセットポイントが、40℃に設定されてしまったりします!
こうなると、体温調節中枢は40℃まで体温を上昇させようと指令を出し続けます!(あれま)
例えば!
感染症で熱が出る場合は、
細菌の外因性発熱物質がセットポイントの上昇をもたらします。
同時に、細菌の侵入に対してマクロファージなどの蛋白質や白血球さんたちが、
内因性発熱物質であるインターロイキンを産生します。
この、インターロイキンは、脳内でプロスタグランジンを産生させて、
このプロスタグランジンが体温中枢に働きかけて、セットポイントを上昇させて、発熱を起こします!
セットポイントが上がると、相対的にまわりの温度が下がったように感じて、悪寒が起こります!
また、筋肉を動かすことで熱を生産し、体温をセットポイントまで上げようとして、震えがきます。
炎症が収まってくると、発熱物質の作用がなくなってセットポイントは再び低い温度に設定されます。
すると、発汗などによって熱を放散し、体温が低下します!
熱型は大きく分けて5つほどあります。
ノートにまとめたものを載せます👇
細菌性の感染があって(肺炎や尿路感染)熱が37℃台の場合は、悪寒を伴っているか確認して、伴っていないときはクーリングをします。
悪寒が出ているということは、体温がセットポイントに到達していない状態です!
(悪寒でセットポイントまで体温上昇をしている最中)
この時に無理に体温を下げようとせず、むしろ湯たんぽなどで保温に努めます。
最近と戦うための防御作用が体の中でメラメラと燃えている最中!その働きを妨げてはいけない!
大事なのはクーリングのタイミング!
悪寒が収まって、発熱による苦痛が生じていたらクーリングを開始します。
38℃以上でクーリングをしても熱が下がらない場合は解熱剤の使用を検討します!
中枢熱の場合は解熱剤は効きません!
解熱剤は内因性の刺激因子を阻害してセットポイントを下げます。
しかし、脳出血や脳腫瘍などの直接的に体温中枢を刺激している発熱に関しては効き目はないのです!
クーリングのみで解熱を目指します。
セットポイントは容易に下がらないので、太い動脈が通っているところを冷やすよりも、体の広い部分を一気に冷やしたほうが効果的で、患者さんも安楽に過ごせると思います!
このことから、患者さんの熱が何からきているのかをアセスメントすることが大事になっていきます!
熱が出たからクーリングではなく、
患者さんの状態を見ること、今どの状況にあるのか考える必要があります。
おわり!