こんにちは。
今日は勉強ノートです!
最近は、北海道の冬が来たなって感じで、朝は布団から出るのが億劫になってきました。笑
本日のテーマは、この時期最も脳外科に来る病気を解説します!
こんにちは。
本日のテーマは硬膜下血腫
(こうまくかけっしゅ)です!
硬膜下血腫って何?というと、
簡単にいうと頭を強く打って、頭蓋骨の中の血管から出血している状態です!たんこぶよりも重症な状態です!
冬になるにつれて多くなります。
冬のツルツルの路面でおばあちゃん、おじいちゃんが滑って転んだりするからです!
目次
頭部外傷とは、頭に外から力が加わることで、頭の皮膚、頭蓋骨、脳の損傷をきたすことです!
頭部のどこを損傷したかによって種類が変わってきます!
骨折そのものが治療の対象にはなりませんが、骨折の種類や場所によって、特徴的な症状とか、合併症があります!
脳の中で出血してる状態
頭蓋骨と硬膜の間に血が溜まっている状態
硬膜とくも膜の間に血が溜まっている状態
硬膜とくも膜の間の出血。
本日の記事の要。
冬に運ばれてくるランキング1位です!!
脳全体が腫れて、脳のうねうねしている溝がなくなってしまう!
頭の中の圧が高まって、吐き気・嘔吐・意識障害などを引き起こしたりもします!
ザックリと頭部外傷の解説をしました!笑
どの種類にも共通して言えることは、
頭打ってすぐは大丈夫でも、後から症状が悪化することがある!ということです。
頭を打って死ぬかもしれない!っていう病態になる多くは、頭蓋内出血が原因です!
小さな血の塊であれば、すぐに吸収されていきますが、大きな血の塊が脳の中にあると、
脳を圧迫して頭蓋内の圧が上がります!
こうなると大変!
脳はあらゆる機能を担ってますからね・・・
人が生きようとする機能が障害されてしまうと、呼吸困難になったり、正常な心臓な動きができなくなったりします!
頭蓋内出血の種類を解説👇
硬膜下血腫とは、の前に!
硬膜(こうまく)ってどこ?ってなります。
脳の構造から解説いたします!👇
脳を包んでいるものを外側から順番にいうと、
頭皮(皮膚→結合組織→腱膜→結合組織→骨膜)
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頭蓋骨
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硬膜
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くも膜
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軟膜
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脳
硬膜下血腫は、硬膜とくも膜の間の出血のことを言います!!
主に、転んで強く頭をぶつけた際に起こります。
近年は、子どもの虐待や、スポーツ選手のスポーツ外傷として多いと言われています!
でも、基本はお年寄りの方が転んだ際に、頭を打ってくることが多い印象です。
硬膜下血腫には、急激に血の量が増大して、意識障害や呼吸困難を招く恐れのある、急性硬膜下血腫と、徐々に血の量が増えていって、症状が出るのが遅い、慢性硬膜下血腫の2つあります!
急性硬膜下血腫では、致死率50%近くになり、かなり危険な状態です。
出血の量が多い場合には、すぐに手術になります!
急性硬膜下血腫、うちの病棟では通称:サブドラ
うちの病棟ではサブドラと呼んでますが、ほかの病院ではなんて呼んでるかわかりません!笑
なぜサブドラなのかというと、
英語で硬膜下血腫はsubdural hematoma(サブドラル ヘマトーマ?だったか?笑)
略すときはよくSDHと書きます。
そこに急性という意味の英語をつけるとacute(アキュート)
頭文字aをとって、急性の硬膜下血腫はASDHと略して書くことが多いです!
カルテで先生方が書くのはこのASDH!
ちなみに慢性の英語はchronic(クロニック)
つまり、慢性硬膜下血腫の時はCSDHと先生方はカルテに書きます!
うちの病棟では、急性硬膜下血腫を、サブドラと呼び(本来は硬膜下血腫の略)
慢性硬膜下血腫をクロサブと略しています!(ここで慢性っていう英語の略をいれて区別してる?)
英語の勉強みたくなっちゃいましたね笑。
すみません笑。ここからが本題!
急性硬膜下血腫の病態
急性硬膜下血腫は、脳の表面を走行している血管が傷ついて出血!その血が硬膜とくも膜の間に流れ込んでいる状態です。
頭部外傷の直後から意識障害を呈していることが多いです!!
近年では、子どもの虐待やスポーツ外傷などで多いです!
頭部CTでは、三日月型の高吸収域を認めます!👇
打った方の頭とは反対側に血腫ができることもあります!
急性硬膜下血腫の症状と経過
急性硬膜下血腫の特徴は、とにかく脳が腫れる!!ってとこです。
血の塊がどんどん増えるのも特徴です!
そのため、急激に脳が圧迫されて意識障害がでます。
予後は極めて悪いことが多いです!
急性硬膜下血腫の外科的治療
急性硬膜下血腫では、血の塊がゼリー状に固まります。
なので、管を入れても吸引しにくく、開頭手術を行います!(脳をパッカーンと開けます)
これを、開頭血腫除去術といいます。(そのまんま。笑)
強く脳を損傷していて、脳本体もめちゃくちゃ腫れてる!ってときは、
そのまま頭蓋骨をはめても、脳が圧迫されるのはかわらないので、
あえて頭蓋骨ははめずに、皮膚だけ元に戻す外減圧術を行うこともあります!
おっかな!って思いますよね・・・
戻ってきた人の頭はぽよぽよしてます!
圧迫されないように気を付けて管理します!!
脳の腫れが収まってから、頭蓋骨をはめます!
サブドラの患者さんが入院してきたら
うちの病院では、すぐに手術が必要ってなる血腫の量なら、HCUという集中治療室的なところに入院します。
保存的に経過を見ていく場合は、普通の一般急性期病棟に入院して、2時間ごとにフォローのCTをとって、
血腫が徐々に増えていってないか確認します!
血圧が高いと、出血はますますひどくなるので、厳密に血圧管理も行います!
だいたい収縮期血圧120以下くらい!それ以上血圧が上がっているようなら、降圧薬の点滴を持続投与します。
→ペルジピンとか、ニトログリセリンの持続投与
慢性硬膜下血腫です!通称:クロサブ CSDH
先ほども説明しましたが、うちの病棟ではクロサブと呼んでいますが、
ほかの病院さんではなんて呼ばれているかわかりません!笑。
急性硬膜下血腫とは病態は全然違います!
冬によく来る入院ナンバー1ですね!
病棟上がってきてすぐ手術になることがほとんどです!
慢性硬膜下血腫の病態
頭を打ってから、およそ1~2か月かけて、硬膜の下にじわじわ血液が溜まっていき、血腫ができる病態です!
最初は血腫は小さいので、無症状なことが多いです。
時間がたつにつれて、少しずつ出血し、血腫が大きくなって、頭痛や片側の手足の動かしにくさ・認知機能の低下などの症状が出てきます!
頭部のCTでは、こちらも三日月型の低~高吸収域を認めます!
慢性硬膜下血腫の症状の経過
小さな外傷でも、頭の中では微小な出血が起こり、経時的に血腫がup!
やがて症状が現れる!
初期症状は頭痛
徐々に認知障害(あれ、今日何日?)、運動障害(片麻痺)、尿失禁などの症状が出てくる。
この病気の認知機能の低下は、ただ単に認知症として扱われやすいです!
どっかぶつけなかった?てぜひとも確認していただきたい!
慢性硬膜下血腫の外科的治療
基本的に血腫がわずかで無症状の場合にはそのまま保存的に経過観察します。
しかし、上記のような片麻痺やら認知機能の低下など症状が出てしまっている場合は、
穿孔洗浄術(せんこうせんじょうじゅつ)をします!
頭に500円より少し大きいくらいの穴をあけて、出血しているところに管を入れます!
この管がドレーン!
この管(ドレーン)からお水を入れます!そのあと入れたお水とともに血の塊も吸引します!
お水を適宜通しつつ、洗い流す感じのイメージで吸引します!
こうして、頭の中の血の塊を少しずつ抜いて、キレイにします!
ここがポイント!
急性硬膜下血腫と違って、血がゼリーじゃなくて、わりとサラサラ!→管で吸引できる!!
頭の中で何度も出血を繰り返しているだけあって、血が固まりにくいんです!
急性硬膜下血腫はゼリー状なので、管で吸引しよとしても詰まっちゃいます。だから頭をパッカーンしなきゃいけないのですが、
こちらは穴をあけて管を入れるだけなので、急性硬膜下血腫の治療よりは、体にかかる負担は少ないです!
クロサブの患者さんが入院してきたら
患者さんは大抵症状があって病院を受診してきているので、ほぼほぼ手術の適応となります。
入院してすぐ手術になりますが、うちの病院では、急性期病棟のNCUに入院します。
入院後から30分~1時間くらいで手術室に入室になります。(手術室の準備ができ次第入室)
手術は大体1時間~1時間半程度で終わります!
1時間後くらいに戻ってくる患者さんの頭には、管が入ったままです!(こわ!!)
管が入ったままで戻ってきて、その後の管の管理は病棟ナースがやります!
大体翌日にはこの管は抜けます!
それまでゆっくり血を引きます!
管を抜いた穴は先生が針と糸で縫います!
1週間後に抜糸です。
脳神経外科のドレーン管理っていうと、マジでいろんなドレーンがあります!笑。
脳室ドレーン、血腫腔ドレーン、硬膜外ドレーン、皮下ドレーン、脳槽ドレーン、腰椎ドレーン(スパイナルドレナージ)
などなどたくさんあります!!!笑
私も全然知らない!笑
ほとんどは、ICUやHCUと呼ばれる集中治療室的なところで管理していますが、
クロサブの時に入ってくるドレーンは急性期病棟でも管理します!
それが、硬膜下ドレーンです!(SD-Dと表記して記録に書くこともあります!)
ドレーンは入れて、翌日に先生がCTで血が抜けているのを確認してから、抜去になります。
閉鎖式ドレーンと開放式ドレーン
ドレーンは閉鎖式と開放式という2種類があります!
閉鎖式は、大気に触れてなくて、圧調整は原則外耳孔、髄液漏に注意!が特徴らしいです・・・
は?って感じですね。
開放式はその逆!笑。大気に触れてる、圧調節が自由にできます!
開放式ドレーンには、脳室ドレーン、脳槽ドレーン、スパイナルドレナージが例として挙げられます。
頭蓋内圧を自由に調節できます。体内に留置したドレーンの先端と、体外の先端の位置との高低差がそのまま設定圧となります。
ちょっと私もよく分からなくなってきたのですが、めっちゃ簡単に絵で解説すると👇
こんな感じです!笑。
硬膜下ドレーンは閉鎖式ドレーンです!
サイフォンの原理
実際に入っているドレーンはこんな感じで、このように吊るして管理しています👇
サイフォンの原理を利用して自然の圧でゆっくり排液を出します!
どのくらいゆっくりかというと、4~5秒に1滴くらいの速度です。(遅い・・・)
サイフォンの原理👇
サイフォンの原理とは、水の入ったビーカーを高さが違うところに置いたとき、
管の中に水を満たして2つのビーカーをつなぐと、高い位置にあるビーカーから、さらに高い位置を通っても低い位置のビーカーに自然に水が流れていく!という原理です!
この仕組みを利用して、ドレナージをしています。
コーヒーなんかもこの原理を利用しているみたいです!
硬膜下ドレーンの管理のポイント
手術後はドレーンはまとまって袋に入って帰ってきます。
それを点滴棒に吊るして、高さ調節をします!
ザックリ硬膜下ドレーンの管理ルール
①最初は外耳孔(がいじこう)に合わせる
②排液の流出はゆっくり(4~5秒に1滴)
③出なくなってきたら頭後下(こうとうか→寝たときに枕に当たってるとこ)までは下げてOK
④流出が停滞してきて髄液が出てきたら外耳から15㎝の高さに上げる
ザックリ硬膜下ドレーンの観察するとこ
基本は、50~60ml/日くらいの流出量ですが、血腫の大きさとかによって100ml以上出る人もいます!
排液はの色は暗血は性(暗ーい赤色)から、徐々に薄くなっていきます!黄色がかった赤くらまで!
排液量が急に多くなってないかや、色の変化の確認をします。
排液量が予想より大幅に多いときは、頭の中で新たに出血していることが考えられるので、すぐに先生に報告します!!
排液が一気に出すぎちゃうと、脳の中のあらゆるものが管の方に引っ張られます!
お風呂の栓を抜いた時に穴に足を近づけたら吸い込まれますよね?それと一緒の原理です!笑
引っ張られると、周りの静脈が切れて出血の危険があります。
あとは、圧迫していたものがなくなって、脳が元の位置に戻ろうとしてけいれんが起こる可能性があります。
→最初は排液の流出速度は4~5秒に1滴が望ましい!
交通性とは、血腫がある部位から体外のドレーンバックまでのチューブ内が詰まっているかどうかということです!
あれ、排液出てないけど、詰まってる?ってなったときに確認が必要です。
確認の方法は簡単!チャンバーを上にあげたり、下に下げたりして、液面が上下すれば交通性はあり!
詰まっていない!ってことになります。上下しなかったら詰まってることが考えられますので、どのくらい出たのか確認して、予想排液量よりも明らかに少ない場合は医師に相談します!
拍動がある=髄液が漏出していることになります。
後頭下まで下げて、排液が停滞してきて、排液も黄色味かかってて薄い!からの~拍動!なら、外耳孔から15センチ上の高さにセッティングします。笑
考えられることは、血腫が引き終わって、髄液まで引いている状態です。(出てきてはいけない液)
※がっつり髄液が出てるときは、排液の性状はキサントクロミーという黄色味がかった色になります!
開始早々に色も薄くなってないのに(血性)拍動がある!って時は先生に相談します。
まれにですが、流出液の主体が髄液となることもあるそうです。
ザックリこんなもんでしょうか!
細かくいうとまだまだありますが・・・
一番のポイントはこの4つです!
いや~長かった。笑
1日がかりで書いてます。
でも今日のこの記事はめちゃくちゃ自信あります!
自信ありますというか、がんばりました。笑
内容的にザックリですが、こんなに書いたのは初めてかもです笑。
ぜひとも皆さんに読んでいただきたい!
結構かみ砕いて解説したつもりですが、わからないよ~ってとこあればコメントで教えてください!
私も一緒に勉強します!笑
サブドラも、クロサブもめっちゃ冬にきます!笑
みんな転んでやってきます!
なので、総じて言えることは、冬道には気を付けて!笑